両親を亡くして以来ずっと一緒に冒険者生活をしてきて肉体関係もあった兄妹が結婚を機に離れたり、また一緒に戻ったりするお話。
文字数は約16,000文字。
「リガード、兄さん。今までありがとう」
「ああ。幸せになれよ、ヴェリン」
兄妹で過ごす最後の夜に、二人はささやかな宴を開いた。
リガードが私室に引き取って、さて明日の見送りに備えて休もうかとしていたところで、ドアがノックされる。
「ねえ、まだ起きてるよね?」
扉を開けて入ってきたのは、薄衣を身にまとったヴェリンだった。
昔リガードが買い与えた小さな宝石の飾られた髪飾りで、豊かな金髪がまとめられている。
胸元から腰、そして脚へと続くラインが、ひどく艶めかしい。
婚約者のルサーから贈られた指輪は、今は指から外されているようだ。
「お前……」
リガードは少し眉をひそめて、問いかけるように妹の顔を見る。
ヴェリンは、彼のベッドに腰掛けると、上目遣いに兄の顔を見つめ返した。
「今日が最後でしょ。ね」
「……お前は、明日には他の男のところへ嫁に行く身なんだぞ」
「明日にはでしょう。今日はまだ、兄さんといるのよ?」
ヴェリンはそう言うと、兄の体にしなだれかかる。
豊かで、それでいて張りのある胸の膨らみが、薄い夜着越しに押し付けられてくる。
「これまでずっと一緒にいたのよ。最後にもう一度くらい、いいじゃない」
「……仕方ない奴だな」
リガードは苦笑すると、妹の体を抱き寄せた。
なんといってもリガードとヴェリンは、まだ成人もしきらないうちからたった二人で、慣れない冒険者生活に身を投じてきたのだ。
命がけの日々の中で、血のつながった実の兄妹とはいえ背中を預けあって生きてきた男女がお互いを求めるようになるまでに、さほどの時間はかからなかった。
それは男女間の恋愛というようなものではなかったかもしれないが、二人には他に頼れるものはなく、お互いが必要だった。
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