「今日も、始まる。」
部室の重たい扉を開けると、すでに仲間たちは準備を終え、畳の上に立っていた。外はまだ朝霧が残る時間帯。窓から差し込むわずかな光が、肌に汗の輝きを生む。
私は、道着を着ることなく、そのまま畳の上へ足を踏み入れた。もう、ここでは何も隠す必要はない。
「準備はいい?」
低く響く声に、私は静かに頷いた。相手もまた、私の目をじっと見つめていた。
裸のまま構え、静かな空気が張り詰める。相手の視線を捉えながら、一歩、また一歩と距離を詰める。畳の上では、技術も力も、そして肌の温もりさえも全てが混ざり合う。
一瞬の隙を突かれ、肩を掴まれる。次の瞬間には、身体が浮かび、畳に叩きつけられた。背中が大きく弾む。その痛みとともに、全身に快感が走る。
「甘いよ。」
そう言われると同時に、相手の腕が私の首に回る。じわりと締められ、呼吸が浅くなる。
「……くっ……!」
必死に相手の腕を払いながら、どうにか体勢を変える。すべての筋肉が収縮し、肌と肌がこすれる感覚が鮮明になる。視界がぼやけるほどの熱が体を包み、次の一手を探す。
「負けない……!」
息を整え、一気に相手の重心を崩す。組み敷き、押さえ込む。そのまま締める。締める。腕に力を込めるたび、相手の息が少しずつ荒くなる。
「くっ……強くなったね。」
耳元で囁かれ、背筋が震える。技を決めた充実感と、互いの体温が混ざるこの感覚が、たまらなく心を掻き乱す。
果てなき練習
部活が終わると、誰もがぐったりと畳に倒れ込む。肌は汗で濡れ、息は荒い。
「今日もやり切ったね。」
仲間の声に、私は笑みを浮かべた。
ここでは誰もが裸。互いの身体を知り尽くし、何度も何度も組み合い、倒し、締める。言葉ではなく、技と肌で通じ合う。
そしてまた、明日も裸で交わる。
それが、私たちの部活だった。
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