その夜、玄関のドアが静かに開いた。
「……ただいま」
乱菊は、肩で息をしていた。
隊服は焦げて破れ、足には斬られた痕が残っている。
なのに、口元にはいつもの、あのふわっとした笑み。
「ちょっと強がって帰ってきたけど……
ほんとは、結構…ギリギリだったの」
言いながら、ふらつく脚でベッドまで歩くと、
俺の手を取って、自分の胸に押し当ててきた。
「ねぇ……わたし、生きてるよね?」
その声には、微かに震えがあった。
「体、冷たくなってない? 血、ちゃんと流れてる……?
ねぇ……触ってよ。わたしの……熱」
シャツのボタンを外すと、
その下にあった肌は、汗と微かな傷跡に濡れていた。
「キズがね……痛いの。
でも、それよりも‘感触’のほうが欲しくて…
ちゃんと、‘あんたに触られてる’っていう実感がほしいの……」
唇を重ねると、彼女はすぐに舌を絡めてきた。
ふだんなら余裕のあるキスが、どこか切羽詰まっている。
「ごめん……こんなあたしで、欲しがって…」
「謝るなよ、乱菊」
「……じゃあ、お願い。
わたしのこと……‘今、生きてる’って、思わせて……」
指先が、傷を避けながら滑っていく。
豊かな胸を揉まれると、彼女の腰がゆっくり浮いた。
「ん……ぁあ……触れられるだけで、ゾクってする……」
ショーツをずらし、濡れた中心に指を滑らせると、
彼女の目が潤む。
「やばい……っ、こんな、泣きそうになるくらい……
気持ちいいなんて……っ」
「乱菊、全部、受け止めるよ」
「うん……抱いて……わたしを……奥まで、ぜんぶ…」
身体を重ねた瞬間、
彼女はしがみつくように俺を抱いた。
「動いて……動いて……あたしが、
‘ちゃんと感じてる’って、忘れられないくらい……突いて……ッ!」
突き上げるたび、
彼女の喉から、甘くて濡れた声があふれ出す。
「んぁっ、ああ、きてる、くるっ……
あたし、ほんとに生きてる……! これ、感じてるの……ッ!!」
絶頂の瞬間、
彼女は涙を流しながら、俺の名を呼んだ。
「……ねぇ、あたし、ちゃんと‘ここ’にいるよね…?」
その問いかけに、俺はもう一度、唇を重ねた。
今夜だけは、言葉より、体温で答えたかった。
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