結婚4年目、平凡で幸せな主婦だった私。――夫が「混浴温泉巡りがしたい」という異常な願望を口にするまでは。
しぶしぶ付き合った旅行先で出会ったのは、若く誠実な夫の同僚。彼に惹かれていく私を、夫は楽しそうに見つめていた。そう、すべては夫が仕組んだ、背徳へのシナリオだったのだ。
夫がすぐ隣の部屋にいる状況で、私は同僚の腕に抱かれた。罪悪感に苛まれながらも、私の体は今まで知らなかった快感に震え、溺れていく。これは一夜限りの過ち? それとも、本当の私に目覚めてしまったの……?
総字数 約17,000字(読了時間 約34分)
〈本文より抜粋〉
まさか夫の口から、あんな突拍子もないお願いを聞かされることになるなんて。私たち夫婦は、今年で結婚4年目を迎える32歳同士。穏やかな毎日だと思っていた。そんな日常に、夫が投じたのは「混浴温泉巡りをしたい」という、私にとっては耳を疑うような願望だった。正気かしら、と本気で思った。見ず知らずの男性がいるお風呂に、夫婦で入るなんて。けれど、夫はいかに混浴が素晴らしいものかを熱心にプレゼンを繰り返す。その熱意に根負けした私は、「一度だけなら」という条件付きで、しぶしぶ首を縦に振ってしまったのだ。
〇
歩道のない狭い道で、角から猛スピードの車が突っ込んできた。眩しいヘッドライトに目が眩んだ瞬間、皆川さんの大きな手が私の肩をぐっと引き寄せ、彼の体が私を守るように覆いかぶさる。彼の胸の中に抱き寄せられる形になり、心臓が大きく鳴った。彼がそっと体を離す。私はまだドキドキしたまま、彼を見上げた。「皆川さん、本当に、優しいんですね」。感謝の気持ちが、素直に口からこぼれていた。私が目をそらそうとした、その瞬間だった。彼の顔が近づき、唇に柔らかい感触が触れた。驚きで、声も出ない。それは一瞬の、本当に軽いキスだった。
〇
夫が、すぐそこのリビングにいる。私たちの声が、このベッドの音が、聞こえているかもしれない。その途方もない羞恥心と背徳感に、私は声を必死で殺そうと、そばにあった枕に顔を強く押し付けた。けれど、声を殺せば殺すほど、体の感覚はどんどん鋭敏になっていく。彼の動きは、決して乱暴ではない。むしろ、私の体のどこをどうすれば悦ぶのか、全てを知り尽くしているかのように、的確に、そして容赦なく奥深くを突き上げてくる。こらえきれなくなった喘ぎ声が、枕の向こう側へとくぐもって漏れ出てしまう。知らなかった。私が、こんな声で鳴くなんて。
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