閉館後の水族館――停電で閉じ込められた二人きりの密室。クラゲ水槽のLEDだけが灯る青い闇の中で、広報担当の瀬尾光晴は、ずっと隠してきた秘密を無口な飼育員・柊冬威に暴かれていく。
光晴は誰にも見せたことのない身体を持つカントボーイ。「異常なし」という診断が逆に彼を孤独にしてきた。けれど冬威は違った。同情も嫌悪もなく、ただ「個体差だ」と言い切る。何百何千の海洋生物を見つめてきた男の、静かで確かな目。その視線に、光晴の二十六年間の鎧が音もなく剥がれていく。
本作最大の魅力は、冬威というキャラクターの造形にある。寡黙で、感情の表し方を知らず、生き物の生態でしか気持ちを語れない不器用な男。クラゲやヒトデの話をしながら、その言葉の裏で確実に光晴の身体と心を暴いていく。科学者の冷静さが崩れる瞬間――「触っていいか。観察じゃなく」――この一言に至るまでの緊張感は、読んでいて息を忘れるほど。
冷たい海水に慣れた指と、羞恥で灼けるように熱い肌。温度差がそのまま快楽に変わる描写は、水族館という舞台でなければ成立しない唯一無二のシチュエーション。青い光、濾過装置の低い振動音、ミズクラゲの拍動――五感すべてを浸す没入感の中で展開される、静謐で濃密な性描写をお楽しみください。
「普通」の枠に収まらない身体を持つ光晴が、初めて「このままでいい」と思える夜の物語。
文字数はハート、濁点など込みで約19611字ほど。
寡黙攻め / 水族館 / 飼育員 / 閉館後 / カントボーイ / 不器用な愛情 / 年上攻め / 幻想的 / 密室 / 中出し
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