「誰か来ても、絶対に俺に助けを求めるなよ。俺は赤の他人のふりをして、お前を置いていくからな」
冷酷に告げる。俺の少し前を歩くのは、異常なまでに肥大した筋肉の鎧を纏った男。俺の恋人であり、ステージの上では歓声を浴びる有名ボディビルダーだ。 だが今のこいつは、ビルパンどころか、リードすら繋がれていない。その太い首に、ゴツゴツとしたスパイク付きのブルドッグ用首輪だけを巻きつけられ、全裸で夜の路地を歩かされている。
大会では、布切れ一枚のほぼ裸の状態で、何百人もの視線を浴びて堂々とポーズを決めているというのに。同じ「見られる」でも、変質者として警察に突き出されるかもしれないという圧倒的な恐怖は、こいつの奥底に眠る別の扉を完全にこじ開けたらしい。
「もし見つかったら、お前はただのイカれた変態だ。俺は通行人として、お前が見世物になるのを笑って見ててやる」
わざと突き放すように囁くと、こいつはビクッと巨大な広背筋を震わせた。見捨てられるかもしれないという恐怖。いつ誰とすれ違うか分からないという極限のスリル。幸いなことにここまで誰とも遭遇していないが、こいつの下半身は、安全なベッドの上にいた時よりも遥かに凶暴に、痛いほど硬く反り返ってやがる。
パンプアップされた大胸筋は夜気にあてられて張り詰め、歩くたびに太ももの大腿四頭筋が猛々しく隆起する。その完璧な肉体美と、首輪一つで怯えながら歩く惨めな姿のギャップが、どうしようもなく俺の加虐心を煽った。
「ほら、あそこの街灯に行け。犬なんだから、どうするべきか分かるよな?」
俺が顎でしゃくると、スパイクの首輪をつけた巨大な犬は、恥辱に顔を歪めながらも従順に電柱の傍へと寄った。そして、丸太のように太い脚を不格好に持ち上げ、犬がマーキングをするように、チョロチョロと黄色い弧を描いて用を足し始めた。
「いい子だ。立派な筋肉を見せびらかしながら、野良犬みたいに放尿する気分はどうだ?」
こいつは荒い息を吐きながら、快感と羞恥で目を潤ませている。 間違いない。こいつは自分の完璧な裸が、こんな惨めな形で晒されることに極上の興奮を覚える質なんだ。スマホのカメラ越しに覗くこの淫らな「オス犬」の姿は、ステージ上のどのポージングよりも、最高にエロティックだった。
※本作に登場するシチュエーションは、すべて創作上のフィクションです。実在の人物、団体、場所等とは一切関係ありません。
※犯罪行為その他、違法な行為を肯定・推奨するものではありません。
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